鳩が人に及ぼす被害

可愛いと言ってエサを与えてはいけません。

鳩が及ぼす被害は、詳しく知られてはいないかと思います。鳩の被害で一番多いのは糞害ですが、鳩以外でもムクドリなどの大量発生で糞害がニュースになっていることはよくありますよね。糞は臭いや美観を損なわれる他、金属の腐食も問題視されています。鳩は本来、木の実や小さな虫をエサとして食べていますが、公園や路上で人が食べこぼしたものがエサとなって、鳩のエサ場が人間の生活する場所と同じになっていることで被害が起きています。今では、鳩対策で公園などでエサを与えないように注意書きがしているところも増えましたが、そのエサを与える行為が大量の鳩を呼び寄せ、糞を増加させている原因なのです。

鳩が人間に及ぼす被害に「健康被害」がありますが一体何でしょう。一つは鳩に寄生している寄生虫です。鳩自体の羽毛にノミやダニが潜んでいます。ノミやダニは、人を刺咬したり吸血したりするほか、アレルギー性の皮膚炎や鼻炎、気管支喘息の原因にもなります。ベランダや屋上に鳩が飛来するのを放置していると、鳩が運んできたダニが建物の周辺に棲息するようになります。もう一つは糞が持つ病原菌です。その中でもよく知られているのは、クリプトコックス症やオウム病と呼ばれる病気です。

鳩の糞にはたくさんの病原菌が潜んでいて、よく知られている2つの病原菌をご紹介します。まず一つは、「オウム病」と呼ばれる病気ですが、本来は鳥の感染症です。鳩の保菌率は高く、接触により人間に感染することがあります。風邪に似た症状で、重度になると肺炎になることもあります。そして、もう一つの「クリプトコックス症」は、真菌症の一種で人が感染すると軽症のものは皮膚炎程度、重症になると脳・脳脊髄膜に病巣を作り死亡に至ることもあり、乾燥した鳩の糞が埃と一緒に人体に吸入されると発病するとされています。

鳩の糞には病原菌が潜んでいることをお伝えしましたが、もし、ベランダなどに糞があった場合どうやって掃除をすればいいのでしょうか。糞を放置していると鳩が糞がある場所は安心な場所と認識して住み着いてしまいますので、そのためにも掃除が必要です。まず、直接手で糞を触ったりしないように、手袋は使い捨ての手袋を使用し、菌を吸い込まないようにマスクも着用します。糞が乾燥している場合は湿らせた後、新聞紙などで拭き取り、最後はエタノールや次亜塩素酸ナトリウムで消毒をします。次亜塩素酸ナトリウムは材質によって変色や腐食することがありますので、材質を確認してから使用しましょう。そして、掃除に使ったものはすぐに捨てるようにして、道具などは使いまわしをしないようにしましょう。